微生物が洗剤を作る!〜発酵技術でできた界面活性剤

微生物が洗剤を作る!〜発酵技術でできた界面活性剤

石鹸を含め、一般的に洗剤の主成分となる界面活性剤は、化学反応によって作られますが、それ以外の方法で作られる界面活性剤もあります。食品である納豆や醤油、味噌などは微生物を使った発酵技術を利用して作られますが、発酵技術を利用して界面活性剤を作る研究も行なわれ、この技術で作られた界面活性剤は、「バイオサーファクタント」と呼ばれています。

バイオサーファクタントは発酵技術で作るため、生産量や質が安定せず商業化が困難でしたが、1990年代からバイオサーファクタントのひとつである、「ソホロリピッド」を配合した製品が発売されています。ソホロリピッドは、糖とパーム油を原料に、酵母による発酵技術から作り出されるバイオサーファクタントのひとつで、30年ほど前から研究されていましたが、製品化は非常に困難とされていました。しかし現在、様々な技術改良によって問題が解決され、ソホロリピッドを使用した洗浄剤が販売されています。

ソホロリピッドのすぐれた特徴

ソホロリピッドのすぐれた特徴

ソホロリピッドのすぐれた特徴


ソホロリピッドは、「化学合成で作られる界面活性剤と同じくらい洗浄力が強い」「生分解性が石鹸と同じくらい高い」「すすぎ性が非常によい」という非常にすぐれた特徴を持っています。

しかし、泡が立ちにくいため通常の中性洗剤などにはあまり使用されず、この特徴を十分に活かせる製品に配合されています。たとえば、食器洗浄機用の洗浄剤は、泡が立ちすぎると食器洗浄機が壊れてしまうため、泡が立ちにくい界面活性剤を使用する必要がありますが、このような界面活性剤は、一般的に生分解性が低いという問題を持っています。そこでソホロリピッドの泡が立ちにくく生分解性が高いという特徴を活かして、食器洗浄機用の洗浄剤に使用されています。また、すすぎ性がよいため、野菜洗い用の洗浄剤にも使用されています。

酵素の持つ洗浄パワー

デンプン・脂質・タンパク質を分解する
洗濯用洗剤などで、「酵素の力」「酵素パワー」などと謳った製品を見たことがあると思います。「酵素」と聞くと、何となく効果がありそうなイメージを持つ人が多いでしょうが、酵素とはどのようなものなのでしょうか。

酵素とは生物が生きていくために必要な、体内で働くタンパク質です。私たちが食事をするときには、だ液に含まれるデンプン分解酵素(アミラーゼなど)、胃液に含まれる脂質分解酵素、タンパク質分解酵素(リパーゼ、プロテアーゼなど)によって、食べたものが体に吸収されやすい形に分解されます。酵素はこれらを非常に少ないエネルギーで効率よく分解できるという特徴があります。この酵素を洗浄剤に使用して、強い洗浄力を待たせているのが「酵素系洗浄剤」であり、洗濯用洗剤以外としては、医療機器の洗浄剤などで利用されています。

界面活性剤と酵素ってどう違うの?

酵素は界面活性剤と異なる様々な特徴を持っています。

まず酵素は、基本的に分解する対象物が決まっており(基質特異性)、たとえば、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)であればタンパク質を、アミラーゼ(デンプン分解酵素)であればデンプンのみを分解します。

また、酵素は生物が作るため、一般的に体温に近い中性付近でもっとも効果を発揮し、長時間汚れと接触させる必要があります。ただし、温度や液性に関しては、技術の進展により洗濯用洗剤でもっとも多い弱アルカリ性で効果を発揮する酵素、冬場の冷たい水でも効果を発揮する酵素などが開発されており、より効果的に酵素が使用できるようになりました。食品衛生関連の洗浄剤の場合は、「長時間汚れと接触させる必要がある」のが欠点となってしまうこと、「価格が高くなる」という問題もあり、界面活性剤を主とした洗浄剤のほうが多く使用されています。

しかし、界面活性剤では汚れが取り除きにくいタンパク質汚れ、デンプン汚れに対して、一定の時間を置いて洗浄する方法(浸漬、発泡洗浄)を利用して、酵素の利点を活かすことができる、特定の汚れに特化した洗浄剤も販売されています。

洗浄と同時に殺菌ができる洗剤

二つの工程が同時にできる
食品を取り扱う施設(調理場、食品工場など)や医療・福祉施設などにおいて、洗浄効果と殺菌効果を併せ持った洗剤がよく使用されています。このような洗剤は以前でも触れたように、殺菌成分として陽イオン界面活性剤、洗浄成分として非イオン界面活性剤や両性界面活性剤を主成分として組み合わせた洗剤です。こういった洗剤は液体一般的に「洗浄除菌剤」と呼ばれています。この洗浄除菌剤を用いると、一度の工程で洗浄と同時に殺菌ができるので、とくに微生物の制御が必要な対象物に使用するときには非常に有用です。また、作業効率アップにも繋がります。

しかし、その反面、洗浄だけを目的とした中性洗剤やアルカリ洗剤と比較すると、やや洗浄効果が劣るため、強固な油汚れの付着した対象物への使用は、あまりおすすめできません。

幅広く使われている「プロの洗剤」

幅広く使われている「プロの洗剤」

幅広く使われている「プロの洗剤」


では、具体的に洗浄除菌剤がどのように用いられているかを紹介しましょう。食品を取り扱う施設においては、生で食べる食材や加熱後の食品を扱う調理器具(まな板や包丁など)の洗浄・殺菌に用いられています。また食品工場においては、発泡洗浄機を用いて、床や機械・設備の表面の洗浄・殺菌に使われています。

医療・福祉施設では、ドアノブや手すり、テーブルなど、人が手でよく触る箇所や血液の付着した環境表面の洗浄・殺菌に用いられます。こういった箇所で用いられる含浸させたタイプがあります。また、施設のお風呂や床の洗浄・殺菌にも用いられています。このように、一般家庭ではあまり目にしない、洗浄と殺菌が同時にできる洗浄除菌剤は、プロの洗剤として幅広く用いられています。洗浄除菌剤は使い方、使う対象物さえまちがえなければ、洗浄と殺菌が同時にできる、非常に便利で有用な製剤であると言えるでしょう。

また、洗浄や殺菌のことを考えたとき、脱臭機という選択肢もあることを忘れてはいけません。

ニオイのもとは、雑菌の増殖です。ということは雑菌の増殖を抑止したり、雑菌を殺せばニオイはなくなります。雑菌を殺す、もしくは増殖を抑止する方法としていくつか考えられますが、多少のイニシャルコストはかかっても、ランニングコストを含めて考えた場合、洗剤や殺菌剤などではなく、やはり脱臭機の利用をおすすめします。

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オゾン発生器の可能性

当サイトでは度々オゾンについて触れてきたが、今回は「オゾン発生器」そのものについて書きたいと思う。

たとえば、消臭や脱臭を考えたとき、一般の人がすぐに頭に思い浮かぶのは(非常に残念なことではあるが)オゾン発生器…ではなく、おそらく「空気清浄機」ではないだろうか。某電気量販店に足を運んでも、売れ筋のオゾン発生器がフロアの一角を占めている…ということはない。代わりに空気清浄機が幅を利かせている。

殺菌や除菌、脱臭その他「清潔」に貢献度が高いのは空気清浄機ではなく、オゾン発生器のほうだが、まだまだ認知度は低そうだ。かといって、今の日本でオゾンが活躍していないわけではない。どちらかという多くの一般の人が気づかないところで生活を支えてくれているのだ。オゾン発生器がどのように活躍しているかについて知ってほしい。

オゾン発生器やオゾン水生成器というものは、「環境問題待ったなし」の今の地球においてなくてはならない存在であるといっても過言ではない。

この話しをすると必ずといっていいほど「オゾンは危険だ」と主張する人たちが一定数いるが、これは勉強不足、知識不足だと指摘せざるを得ない。なぜなら、危険性の本質を理解していないからだ。

いっておくが、この世の中に「危険なもの」はたくさんある。自動車やバイクは便利だが死亡事故は毎日起きているし、病院で処方される薬のおかげで我々の寿命は飛躍的に延びたが、それが原因で副作用が起きたり、死亡することだってある。すべては紙一重、表裏一体なのである。

オゾンの研究を続ける私たちからすれば、自動車やガスコンロ、インターネットなど、多くの人たちの生活を支えている「便利なもの」は少なからず表舞台に立ち、感謝をされているのに、一方、オゾンはどうだろうか。たとえば、蛇口をひねれば、美味しくて安全な水が出るのはオゾン殺菌のおかげだが、一般の人でそのことを理解している人は少ないだろう。私たちとしては、一般の人たちからは見えないところでオゾンが活躍していると、「私たちはちゃんと知っている」と目には見えないオゾンの語りかけている。そういう気持ちで研究しているからこそ、オゾンが将来的に環境問題に大きく貢献すると確信している。

一般の人たちが「オゾン」を知るのは、「オゾン層」もしくは「オゾン発生器」くらいのものだろう。そのオゾン発生器だが、ここ数年で扱う業者や専門家が増えてきた。理由としては、質の向上と業界内であるべき競争が起きた結果、価格も妥当なものになってきたからだろう。これは大変嬉しいことである。消臭や脱臭に関しては、正直、空気清浄機なんて目ではない。そのくらい効果があるのだ。ただし、効果があるだけに使用方法については十分留意されたい。そこだけ気をつければ何も危険なことはない。

農薬を除去するにはオゾン水が一番

最近では、気体としてのオゾンを放出するオゾン発生器だけではなく、なんとオゾン水も同時に生成できる機種もあることから、ここでは、オゾン水のことについても少し触れておこう。

日本では、危険な成分を含む、また成分が多く残留する農薬の販売は禁止されている。よって、農家の方が、正しく農薬を使う限りは、お店で買う農作物は安全だ。しかし、農薬の誤った散布で命を落とす農家の方がいるように、人間がやることに100%はない。

つまり、適量を散布するのであれば安全な農薬を使ったとしても、「適量」を散布するのは人間である。残念ながら、人間は必ず間違いを起こす。「適量」を散布したつもりが、規定量を大幅に超えた農薬量で、それがそのままスーパーや八百屋に出荷される可能性はあるのだ。

それが農家の人のたった一度の間違いだったとしても、万が一自分がその農作物を食べてしまったら、体調を崩したり、深刻な症状になる可能性はある。仮に人生80年生きたとして、「農薬が規定量以上使われ、深刻に汚染された農作物を1度でも食べる確率」は非常に低い。しかし、だからといって無視してよいリスクではない。

では、どのように農作物から農薬を除去するかについてを書いていこう。これには様々な意見があるが、オゾンを熟知している我々からすれば、「オゾン水生成器を使う」ことをおすすめする。では、「何故オゾン水生成器なのか?」について3つの理由をご説明したい。

1.優れた殺菌力
オゾンは酸素の分子が3つくっついた物質で、化学式ではO3という。オゾン層という、地球外からの有害な紫外線を多く吸収する大気の層について、聞いたことがある方は多いと思いますが、そのオゾンです。

オゾン水のオゾンも、オゾン水生成器のオゾンも一緒なので、有害な物質を強力に分解する殺菌力に優れている。オゾン層にいるオゾンは、有害な紫外線を分解しますが、オゾン水に含まれるオゾンは、農薬や有害な物質を、無害な物質に分解している。その殺菌力は非常に強く、東京や大阪の水道局で、上水道、下水道の水の殺菌、消臭に使われているほどだ。
「野菜を洗うときは通常の流水でもOK」という人もいるが、流水には殺菌作用がありませんので、効果は一段落ちるといってよい。

2.成分が残留しない
一般的な酸素は、O2という酸素分子が2つくっついた安定的な物質だが、Oが3つくっついたオゾンは不安定な物質ということになる。「不安定」というのは、水中や大気中にそのままの状態で長くとどまっていることができず、時間が経つと自然に分解して酸素に戻ってしまうということだ。10数分から数十分経過すると、生成したオゾンは全て酸素に戻り、跡形もなくなる。100%残存しないので、「絶対に」安全だとここで言い切れる。

最近では、野菜洗い専用の洗剤が販売されていますが、こうしたものを使うと、洗剤の成分が野菜に残る可能性がある。「農薬を洗い流すつもりで使った洗剤が、野菜に残ってしまった」となると、本末転倒だ。洗剤が人体に良いはずがない。

3.ランニングコストが不要
野菜洗い用洗剤は、通常の洗剤よりかなり高額であり、量もそれほど多くない。つまり、何度も繰り返し購入する必要がある。こうした洗剤は、通常のスーパーではまず販売されていないので、ネットで注文することになる。つまり、高額で少量の洗剤を、ネットで都度注文するという手間と、送ってもらうための送料が追加で必要になる。

これに比べると、オゾン水生成器は一度購入すれば、その後は長く使い続けることができる。オゾンは電気的に発生させるので、コンセントをつなげばすぐに使える。加えて、どのメーカーが販売するオゾン水生成器も消耗する部品はほとんどない(ノーメンテナンスが主流)。初期費用はかかるが、長い目で見れば「お金」と「手間の節約」という両方の点でお得であるといえる。もっとも、意義があるのは環境に大きく貢献するといってもいいだろう。