ozone
最近、オゾン関係の技術開発が注目を浴びています。「トンデモ科学」や「擬似科学」などと言われることもありますが、このような熱狂的な状況の中から新製品や新しい研究分野が出てくる可能性があり、このような流れは無視することはできません。

細かい気泡を水中に入れるオゾン処理では、上昇する気泡によって懸濁している物質をまとめて浮上させる効果があります。この浮上した部分を分離すれば、被処理水から高濃度の懸濁物質を除去することができます。浄水処理にオゾンと浮上分離を組み合わせ適用している海外の事例は枚挙に暇がありません。湖沼水を原水としている浄水場では、季節的に藻の発生が起こり、オゾン処理による異臭味除去と同時に浮上分離で懸濁している藻を除去できるという一石二鳥の効果が得られています。

水中の気泡

セラミック等の散気管、散気板からの気泡は、表面の比較的な大きな気孔から優先的に吹き出されます。均一な気孔経を徐々に小さくすると、押し出す気体の圧力は上がり、それに従って生じる気泡は小さくなります。しかし、ある一定のところで気泡の経は決まってしまいます。これはセラミック等の気孔部分に出始めた気泡あ水中に放出されるまで付着して、経が大きくなって浮力が付いたところで初めて気泡として水中に移動するためです。この気泡が気孔から離れる際の経の大きさは、水の粘性や表面張力によって決まります。

しかし、気泡として生じ始めた小さな経のうちに横から積極的に応力をかけて水中に放出すれば、より細かい気泡を得ることができる。この気泡の切離し、あるいは切断のための応力として余分なエネルギーを必要とするが、機械撹拌と散気板表面への水流で実用化されています。

機械撹拌

アメリカ、ニュージャージー州にある浄水場は、オゾン処理の導入によってトリハロメタンの除去、異臭味の除去を行っています。オラーデル貯水池からの原水はまずスクリーンを通し、配管中で硫酸アルミニウムと高分子凝集剤を添加してオゾン反応槽の中心部へ導入します。

中心の底部にタービン撹拌機を置き、オゾン化空気を水中に掻き混ぜ、凝集剤を含んだ原水を内側の槽上部から入る。大きな気泡は、内側の槽を上昇し、原水と向流で接触する。細かく分散された気泡は、水の流れで底部から外側の槽をゆっくりと上昇し、反応槽から流出する。

凝集剤と気泡からできたフロックを含むオゾン処理水が次の浮上槽へ送られ、表面に浮上したスカムを機械的に掻き集めて除く。沈殿池、塩素添加、二層ろ過、アンモニア添加、塩素添加、石灰でpH調整して浄水となる。

散気板表面への水の流れ

フランスのある街の水道水は、ローヌ川氾濫原から114本の井戸で地下水を汲み上げ、2つのポンプ場で塩素0.1mg/Lを添加して給水されています。河川の上流に自動水質監視所を設置して水質の汚染を監視し、もしも油や科学部質等で汚染されると、地下水の汲上げを停止し、汚染された河川水が地下に浸透しないようにしています。

この自然を利用した水バリアシステムは効率的である。しかし、化学物質で汚染される事例が多くなったため、さらにオゾン処理を組み込んだ緊急時用のラパプ洗浄水を建設し、常時、待機している。原水は、砂利採取場のピットに造られた人工湖であるミリベル.ジョナージュ湖から汲み上げて用い、緊急時には15分間で立ち上げ可能な浄水場となっている。湖はローヌ川から独立していて環境はきわめて良くて、浅くて十分な日光を受け、自然浄化は促進されるが、藻の発生もある。浄水場には沈殿池はなく、薬品混和、オゾン処理、浮上分離、二層ろ過、オゾン消毒という処理フローとなっています。

オゾンは酸素原料で発生させ、オゾン注入量は0.5~0.8mg/Lである。浄水場に送られた湖水に塩化第二鉄を凝集剤として添加し、急速混和によりフロックを生成させ、オゾン処理、浮上分離によりフロックを除去する。散気板の表面に加圧水を流して気泡を200~300umの微細気泡に細分化し、注入したオゾンの90%以上を吸収させ、その気泡で濁質、藻等を浮上して除く。浮上したスカムは、水位の変動で排出させる。この方法で藻の80%を除去できる。ボコボコと出るオゾンを含んだ気泡が散気板の表面に加圧水を流すことで煙のように細かな気泡となる。

Future plans for the implementation of ozonation in surface water treatment

パルプ再生とオゾン

2019年10月16日の日経ニュースで日本製紙「ユニ・チャーム」が介護オムツの再利用として、吸水材のパルプの再利用として、安価な再生紙オムツを販売するというニュースがありました。オゾン処理を採用した経緯や再生紙にどんな利便性があるのかを今日はご紹介致します。

吸水材パルプの色抜きにオゾン処理を導入

まず、下の画像がオゾン処理を施した再生吸水材と通常の素材の比較写真です。
画像は漂白が効いているような白さになっていますが、下図に紹介されているオゾン曝気だけの場合では完全な真っ白にはならず少量の漂白薬品(塩素系薬品)が必要だが80%台の漂白は可能である。(電解質分解という手法もあるが、これで威力を発揮するには水道水の塩素だけでは触媒が足りないかと思われることに加え、工場が井戸水ということだとミネラル分が特濃でもないと漂白までいかない)でもビルビリンの沈着色を思えば、オゾンは気体なのに大したものであるとしみじみ感じる。50-100ppm程度の曝気が必要である。

オゾンで脱色除菌処理

オゾンで脱色除菌処理

実際、肌に触れる部分は上質パルプのようである。衛生面、吸水性に問題もなければ安価で快適に過ごせる頻度でオムツ交換ができるということが今回のニュースのユーザー側の焦点になる。仙台市ではリサイクル案はないが震災後「オムツ助成金」というものがあり、本来自費であるが経済的負担が多いオムツ購入費(尿取りパッド等は不可)に助成金が補助される制度がある。さらに上をいく鹿児島県志布志市では再生紙オムツを普及させる手筈をシステム化する方向のようである。

鹿児島県で再生パルプを回収、自治体からの取り組み

製紙工場だけではなく、回収→処理→還元→出荷→利用者へ、というサイクルを確立するべく鹿児島県志布志市ではこのような取り組みを行って試験運用をはじめた。(市民だよりがなかなか凝っていて並々ならぬ気合いと見ごたえがある)
http://www.city.shibushi.lg.jp/

鹿児島県で再生パルプを回収、自治体からの取り組み

鹿児島県で再生パルプを回収、自治体からの取り組み

オゾン導入は、吸水ポリマーの削減に再生紙が見直されたから

これは志布志市に限らず全国的に懸念されている所謂「プラスチック廃棄問題」の一環である。オムツの内容物である吸水ポリマーだが、原料材がプラスチック由来なため、紙類に比べ焼却に手こずることと定番の排ガス問題、焼却設備も稼働率が高くすぐ傷むという予算を圧迫する問題が山積している状態があった。回収にもペットボトルやプラスチック分別のような気軽さもない衛生面の都合があり、回収して再利用という発想が皆無であったが、そのようなものに風穴を開けたかのような画期的な試みが注目される所以である。

おむつリサイクルのためのオゾン処理施設

おむつリサイクルのためのオゾン処理施設

二つを参照すると、曝気で濃縮オゾン水を作り、それに直接オムツ素材をさらすという感じのようです。
吸水ポリマーではなく、昔の「紙オムツ」を幾分かでも介護に導入出来たらということと、新規パルプ原料の材木も削減するべくして「リサイクル処理にオゾン」が採用されたようです。また、下水処理についても薬品由来が大きいと流す際にph調整*などを行わなくてはならず、その面でもオゾン処理は利点が大きかったと思われます。旗手となったユニ・チャームさんがそれで特許を取得しています。

「ユニ・チャームHP」よりオゾン処理と再生紙の取り組みについて
https://astamuse.com/ja/published/JP/No/2018024964

*ph調整とは=工場や病院などからの排水の際は汚水の下処理を行わなければならず、phを中性(7.2~4前後)にして流さなくてはいけないルールがある。

オゾン処理の行程とは

新パルプ材は材木であるから繊維の色素とセルロースなどの繊維の粘度を下げてバラバラに煮とかさなくてはならないが、一度加工を経ている再生紙は柔らかいので、脱色もオゾンの酸化漂白する力が発揮しやすいということである。オゾン濃度はppm(界面活性濃度=オゾン濃度として各種データ作成されています)で換算されている。工業有害排水、汚濁泥水のレベルで最低100ppm以上の濃度が必要とのことなのですが、し尿、糞便ではなない。実際は、し尿処理レベルで時間もゆっくりだと30-50ppm以上で80~90%という具合である。(汚濁の測定では、合わせて明度の換算もあるが、残留色素が光を吸う率で色落ちを換算したものなので資料によりばらつきがある)この情報については下記資料もあわせて参照してほしい。

参考文献:「産業廃水におけるオゾン処理技術 松岡宏昌」
多段オゾン漂白効果の要因について
四国工業技術試験所 小林 武,細川 純,久保 隆昌,木村 裕

オゾン処理と言えば真骨頂の残留なしの殺菌も

オムツが回収され、工場で粉砕、除菌処理される過程まで、低酸素状態でもいられる嫌気菌といえど劇毒物を吐き出すような菌類はそんなには残っていないのかもしれない。(寄生先さえあればいつでも活動できるウィルスのようなものは別だが)どちらかと言えば色抜きの方が力が入っているところではと思う。しかしながら、もうひとつオゾン特有の酸化促進作用がウィルスの核を変容させるということが言われている。寄生できる触媒に触れてもタンパク膜にフックがかからないので接触しても入り込む術がない。
再生紙パルプを作る過程でも、高温でどろどろに煮溶かしてから製紙工程に入るため、高温で死んでしまう菌類にはこれまたあまり関わりがないと思われる。日本の手仕事で、コウゾを使った和紙の紙漉きを思い浮かべると真冬の冷水に素手を浸し、ひたすら紙漉きするあれを思い出すので冷水処理のイメージが大きいが、実際は氷のはった冷水である必要はない。ただオゾンの酸化は温度が上がるとphも速度が上がって酸性に傾くといわれているが、所々のデータでは必ずしも比例していない(酸化活性=脱色が進む、ではないということ)。実験環境が統一されていないので詳細は後々を追ってというところである。

いうまでもないが、オゾンは有能な反面、物質としての有害性(毒性)があることもまた事実である。
その特性をよく理解し、安全性と危険性に配慮しつつ、これからも専門分野の方々には技術開発を進めていただきたいと願う。